BurgundyBlackの独り言

「好きなこと」「そのとき気になったこと」など、自由気ままに語るよ

【ある職場】東京国際映画祭②

映画の流れのおさらい:

① セクハラ事件後、保養所に旅行に来ている現在

② セクハラが起こった日

③ ①の6か月後

 

まず、この映画はワークショップからスタートしたということ。つまり、キャスト陣がまだ何者でもないのだ。脚本もキャスト陣たちとの共同制作。登場人物がどこまで事実通りなのかはわからないが、キャラによってそれじゃなくても・・・ってのもあった。評論家じゃないし、自分じゃ絶対に演技はできないから、上手い・下手は言わないが、「不自然さや粗い感じがするな」とは思った。

 

特に、B君が犯人だとわかったときのリアクション。

私がその場にいたら、もっとビックリして顔の表情が変わったり、声が出たりすると思うが、全員が「へ~・・・・え?そうなの?そうだったの?」みたいな、すげ~冷静なリアクションで、逆に笑えた(笑)「ビックリじゃねーのかよ!!」って(笑)

 

また、①の時に展望台に上るんだが、その時けっこう「綺麗だね~!」を連発する。で、③でも同じ展望台に行くのだが、全く同じ場所からの全く同じ角度の景色じゃなくても、同じ展望台からの景色なんだからもう綺麗なのは知ってるだろ?(笑)「初めて見ました!」みたいなリアクションで、いや、そこは、「あ~こんな感じだったねー。懐かしい~」ぐらいでいいじゃないのか?と思った。

 

全体を通して、この旅行を共に過ごすフリーのジャーナリストがいる。セクハラに関する取材をしていくのだが、「その取材記録はどこにも出さない」というくだりがある。そんなジャーナリストいる?しかもフリーよ?仕事を作らない限り稼ぎがないんでしょ?どんなリッチなフリージャーナリストなのよ?(笑)これ、ジャーナリストである必要ある?単に取材というのであれば、社会問題を研究して論文作成のために取材を申し込んだ大学院生とか、他にもっとあったんじゃないかと思う。んで、まだ「学校」という環境と「論文」でしかしらない「上司部下の関係」を、その甘ちゃん学生が好き勝手言う展開とかにしてもよかったのかなと思う。

 

あと、AさんとB君の関係性。これはホテルによって差異があるだろうが、経験上、フロントと清掃係はけっこうコミュニケーションを取る。大きいホテルだと、単純に「人数が多すぎてシフトがかぶらず、知らない人が多い」ということもあるだろうが、200前後の客室数のホテルだったら、チェックイン/アウトのやり取りで個々で清掃係とやり取りすることは結構ある。フロントは基本、どの部署ともコミュニケーションを取るから、「顔を知ってる程度」という関係性であれば、「フロントとキッチンスタッフ」とかでもありだったかな。特に宴会場のあるホテルのキッチンスタッフはめちゃクソ忙しいと思うから、キッチンから出てこない可能性が高いと思う。すげーピリピリしてるし(^^;)

 

それに、LGBTの話も出てくるが、ここはもっと掘り下げてほしかった。2回にわたる展望台のシーンより、この話を広げるシーンが欲しかった(笑)①で、仲間の一人がゲイで、この旅行で初めてみんなにカミングアウトする。別の仕事をしているパートナーもこの旅行に参加するのだが、この2人の物語は特にない。「他人に勝手にゲイであることをバラされて耐えられないなる人もいる」という話が出るが、それだけ。それだったら、「①で仲間の誰かがLGBTに理解を示さない人物で差別されてしまう」とか「解雇の対象となってしまう」とか、『なぜもっとLGBTのことに目を向けてほしいのか』という課題を投げかける内容にした方がよかったのではないかと思う。

 

海外に滞在した経験があるけど、LGBTへの理解は日本よりはるかに進んでいる。それは、元々、多人種世界ということも助けになっているんだろうが、『個々を尊重する世界』ということが大きいと思う。日本は『共存と調和』を重んじる国だからね。以前、海外でたまたま機会があり、LGBTの歴史を知るためのツアーに参加したことがある。LGBTの歴史=差別の歴史だ。時が時なら、見つかったら刑罰や死へ直行だ。そういう歴史を背負っているし、当事者たちは手助けが少ない中、戦っている人も多い。そういう現状が映画でも垣間見れたら、「LGBTという言葉は知っているけど」という人たちにもっとメッセージを投げかけられたんじゃないかと思う。

 

そして、監督が「『状況をリアルに表現したい』という思いを持って映画を作っている方だった」ということ。

 

つまり、監督は「セクハラ被害の話」をしたかったわけではなく、「セクハラ」というトピックから生まれる、立場、ジェンダー、人間関係、本音と建前の日本社会など、すべての『状況』を映し出したかったようだ。

 

その話を聞いてようやく、

 

な~る~ほ~ど~~~~~~( ̄□ ̄)

 

私は日本社会が基本合わない。

職探しの時は「社員旅行あり」のところは、まず排除。

「飲みにケーション」は、その存在の意味が分からん。

 

「もっと仲良くなるため、その人を知るため」って言ってるけど、基本8時間一緒に仕事してんじゃん。

 その時に築けねぇ良い人間関係が、なんで2~3時間の飲み会で築けると思うんだよ?

 

って考え。

それに、仕事しに行ってんだよ。友達が欲しいわけじゃないし、職場の人とは友達になりません。なれません。

 

「●●さんってこういう人だから、仕事やりにくいんだよね」とか確かにあるけど、やりにくいと思うんだったら、それこそ、そんな時にコミュニケーション取れよ。取ってダメだったら、いい意味で周りを巻き込め(本編にもあった、甘えじゃなくて頼れってやつだ)。それでもダメなら自分を変えるしかねーな。基本、みんなコミュニケーション不足なんじゃないかと思う、日本人は。「上司にでも下の名前で呼び合う」海外みたいな職場環境なんて夢のまた夢でしょうな。

 

ちょっと、話は飛ぶけど、映画には英語字幕が付いていた。そこで、部下というセリフのときに「subordinate」という単語が使われていたけど、ネイティブからすると、この単語はかなり強い響きを持っているようで、「軍隊での上司部下関係のような絶対服従」のような感じがするらしい。だから、たとえ、立場として上司部下関係だったとしても、同じ部署で働いてて仲が良い場合は、部下のことは「coworker」や「colleague」(どちらも、日本語にしたら「同僚」だが、海外では「一緒に働く仲間」という認識の方が上司部下関係より強いんだろう)、これが少しフォーマルになったら「employee」と言うらしい。だが、日本人からしてみたら、上司はほぼ絶対的な存在。仲が良かったとしても、腹割って話せるか仲になれるのは、本当に稀。だから、日本文化にあった「部下」であれば「subordinate」で正解なのかな?と思った。

 

話は元に戻るが、とにかく、この映画は私が嫌いな日本文化がまんま映し出されている。

 

まず、「セクハラ問題でプライベートも職場関係もめちゃくちゃ」という人に、「逃げてはダメ。逃げは負け」と言うこと。

 

心身ともに身の危険を感じた時に逃げて何が悪い。

 

「逃げたら負け」と判断するのはお前じゃねーよ。当人だよ。当人がそう思うなら応援してやればいい。「逃げ=恥じ」という考えが嫌いだ。もちろん、逃げた先に安心が手を広げて待ってくれてるわけではない。逃げた先も戦いは続くだろうが、「逃げる」こと自体を否定するのは個人的にはよくわからん。

 

「職場の関係性が崩れるかもしれないからといって、誘われたから行く旅行」。同僚だとしても、Noと言えない環境。だから、③のようなことになったのか。じゃないと行かないよねーー!?絶対に行きたくないわ!!

ちなみに、なぜ旅行を計画したのかは本編では謎(笑)発案者がAさんに特に同情的じゃない分よけに謎(笑)

 

「上司もとりあえず誘っとく?と建前で言ったら、本当に来ちゃった」みたいな状況。これまた絶対やだーーーー!!なんで職場以外で上司と一緒の時間を過ごさないかんのや!!まじ③は意味がわからん状況やけど、すげ~日本を感じるシーンが盛りだくさんだった。

 

観ている最中は、私が映画で映されていた日本が嫌いだから、「ホントこの展開わけわからん!」と思っていたけど、そう感じるということは、監督の意図する「日本の現状」が出ていたからなんだと合点がいった。

 

スッキリ~~~~~!!!

 

終電間近だったから、Q&Aが終わったらすぐに出たけど、駅までの道のりで、観客だったんだろう女の子たちが「今の日本って、あんな感じなんだね~」と言っているのが聞こえた。

 

監督!

 

狙い通りでっせ!!!!